エーゲ文明
エーゲ文明とはエーゲ世界に栄えた青銅器文明のことです。
エーゲ世界とはエーゲ海とその周辺地域をさしますから、この文明は古代ギリシア世界とほぼ重なりますが、この海の北辺までは及びません。
時期は紀元前3000年頃から前1200年頃にわたります。
このような地域と時間の点からは、エーゲ文明はギリシア文明の先駆者のようだけれども、自力でこの世界に成長し発達し完成する独自の文明であって、ギリシア文明ともオリエント文明ともはっきりと異なる性格をもっています。
またギリシア文字ともオリエント文字とも異なるクレタ文字をもっていました。
なおこの文明は、一様単一な文明ではなくて、少なくともトロイア、キクラデス、クレタ、ミケネの諸文明からなっていて、それらが先後し消長し統合されながら、共通性によって統一されます。
しかし本流は、クレタ文明とミケネ文明を通して流れています。
また、亜流として辺境のキプロス文明を加えてもいいでしょう。
ところでエーゲ文明が発見され確認されてから、まだせいぜい70年から100年くらいしかたっていません。
この文明は文字を書いた粘土板をかなり残すけれども、その一部しか解読されていないのです。
このせいもあってギリシア先史文明ともいわれます。
・・・とはいえ、出土品には高度な美術品があるし、その建造物の跡は、かつての堂々たる姿をしのばせています。
それで美術の記述に入るまえに、この文明の発見の経過を簡単にのべて、そのなかにもエーゲ文明の性向や美術の異色にふれ、またその背景を明らかにしておきましょう。